alternativeⅡ

何という運命の悪戯か。

あの『不死身の時雨』が妃の親友であった事もさる事ながら、その親友が妃の考案した臓器移植実験の被験者となってしまうとは…。

重苦しい沈黙が司令室を支配する。

「で…でも…」

シオンがようやく押し出すように言葉を口にした。

「妃さんが臓器移植実験を考案したのは、現在忌み嫌われているような目的とは違うものだったんでしょう?妃さんが負い目を感じる事じゃあ…」

「……」

彼女の言葉に、妃はゆっくりと首を振る。

「そのシオンちゃんの考えを、時雨やルシファー少佐が額面通りに受け取ると思う?」

「……!」

シオンが返答に窮する。

最初の目的はどうあれ、歪められた臓器移植実験の犠牲となった被験者達には、只の言い逃れにしか聞こえないだろう。

犠牲者となった者達の憎悪の矛先は、迷う事なく妃に向けられるのだ。