alternativeⅡ

タクシーは軍施設の正門前に停車する。

「ふわ~…」

思わず声を上げるシオン。

広大な敷地。

所狭しと並ぶ戦車や装甲車。

ここが国連軍モスクワ管区基地。

今日からシオンの我が家同然となる場所だ。

…施設内には、損傷した建物や瓦礫も所々見受けられる。

全盛期には軍管区の部隊及び保管基地には、戦車2040両、装甲車両2246両、火砲1740門、戦闘ヘリ206機その他の兵器が装備されていたが、AOKの侵攻によって大幅に戦力が失われている。

AOKの巣穴のある喀什に最も近い国連軍基地。

それ故に基地の被害も相当なものだった。

…ここでは『戦争』が日常なのだ。

改めて世界が『戦時下』である事を実感しつつ、シオンはゴクリと喉を鳴らした。