でも、俺は。 「…勝ってもいーんだな」 もとより負ける気なんか、更々無いんだけど。 俺は自転車をおりて、千往の斜め後ろを歩いた。それでも千往との距離を一定に保てるくらいだ。 もう勝負はついているようなもんだった。 それでも、千往は相変わらず返事をしないまま肩で息をしている。 だから俺も、千往が落ち着くまで声をかけずに歩いた。 「……ユウトくん、」 しばらくして、まるで出会った頃みたいに千往が言う。 「なんだよ」 俺は返して歩く。 背中、脚、揺れる髪。 ───俺の気も知らないで。