ポコポコポコ…。






水の音、泡が弾けてる。
体は沈んでいく。
水面には人影…。






「誰?…。」






声がした。






「エルダー!…。エルダー!」






目を開けると心配そうなセージがいた。






「セージ…。」






ほっとした顔をした。私はまた心配させちゃった。






「エルダー大丈夫?もう湖に着くわよ。」
タイムは何事もなかったかのようにしてくれた。





今の状況を理解して顔が赤くなる。
「エルダーまだ安静にしてろよ…。」






「いや…。そのだって。」






のしのし早足で歩くアナの上にセージが前に私を抱いて支えていた。顔が近い。






お姫様抱っこは…。






バサッ!






紅い影が横に飛んで来た。
「ヒューレッ…。ごめんね。心配かけて。」






首もとをなでると嬉しそうに喉を鳴らす。






気がつけば夜になっていて…。辺りは闇に包まれた。
湖は月を反射して鏡のように光っていた。






「綺麗…。」






湖畔の木の下にフードを被る人影…。火の番をしている。






タイムが警戒しながら問いかける。






「この辺りに街があると聞いたが近いだろうか?」






「探しなさい。真実を…。誰もいなくなった…。いなくなった…。」






ブツブツと老婆はそればかり繰り返していた。
まるで呪文のように…。





タイムはまず休むとテントをはった。