パタン… 玄関を静かに閉めた。 「どうしていなくなっちゃったの…?」 誰に言ったわけでもなく、ただ空につぶやいた。 華月は生まれたときから奥村になる10年前まで施設で暮らしていた。 奥村家はきれいな容姿に目をつけ華月をひきとった。 だが病弱で手がかかり、おまけに姉は華月の容姿をひがみ嫌っていた。 そのため両親にも悪口ばかり言って、 華月は父と母にも嫌われてしまった。