『ちょっと、愛子?』

そんな海斗の声を聞こえない振りをして
裕子の手を引っ張って
足早に家の中へ入った。

それから外のケンカはやんだようだったけれど
私はずっと泣いていたからそんなことわからない。



『愛子?もしかして、
今のが彼なの?』

心配そうに言う裕子に「うん」って力なく答えると

『やっぱそうか』

そう、裕子も力なく笑った。