「俺と相合傘なんて嫌だと思うけど、我慢してな」
「へ?…いや、ありがたいよ」
いつもの見慣れた町並みだけど、少しだけ違って見えたのは雨のせいじゃない。
一馬くんは無言のまま、前方を見て歩く。あたしは水溜まりを気にしながら歩く。
「…さっきから思ってたんだけど遥、ガキみたい」
「んな!み…水溜まりを避けてるだけだもんねーっ」
「それがガキなんだって」
せっかく優しい奴だと思ったのにやっぱり一馬くんは一馬くんだ。あたしはプンプンしながら歩き出した。だけど…
「…ほら危ないって」
と、あたしが雨に当たらないようにガードしてくれる一馬くんに、ちょっぴりドキドキしたんだ。
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「おはよう、遥」
次の日、いつもより拗ねたような表情で麻衣が話しかけてきた。どうしたのか聞くと、
「たっちーのせいで雨に濡れたんだけど。マジ最悪」

