「永納、傘に入れてくれてよー」
「…もうわかったから。入れるけどちょっと離れて」
麻衣とたっちーの言い合いを微笑ましく感じながら、あたしは一馬くんと家路の方へ歩き出した。
顔に落ちてくる雨粒を冷たいと感じながら歩いていく。早く止まないかな。
「雨、止まないな」
傘をさしながら隣を歩く一馬くんがポツリと呟く。あたしは小さく頷いた。
「あーんな晴れから雨が降りだすなんてビックリ…」
「傘に入れよ。遥、濡れてるし」
「でも、一馬くんが窮屈に…」
「いいから入れって」
ぐいっ
腕を引っ張られて、傘の中に入れられた。あたしと一馬くんの距離は一気に縮まった。
「…か、一馬く…」
「風邪引かれたら困るし、入っとけよ」
あたしは渋々頷き『ありがとう』と言って俯きながら歩いた。一馬くんってクールだけど優しいな。

