オレンジ色の校舎






あたしは小さく頷いて俯きながら歩き出した。楽しみだけど、やっぱり不安がある。



帰り道なんて、あたしと瀬川くんには無言しかなかったもん。そりゃ、麻衣とたっちーもいるから2人きりじゃないんだけど。



「…あれってたっちー?」



しばらく歩いていると、前方を見ていた麻衣が呟いた。あたしも顔をあげると…



「な、永納ぁ、傘に入れてー」



さっきの順位騒動のことなど飛んでいき、悲しそうに叫ぶたっちーがいた。そして少し離れたところに一馬くんがいた。



「カズとはここでお別れなんだよ!だから永納入れ…」



「いーや。ってあたし達もここでさよならじゃん」



「あ、本当だ。麻衣、傘に入れてくれてありがとうね!」



「いいよ。明日ラブハン待ってるから」



はっ…そうだった!ラブハンのおごりを思い出して悲しくなったあたしだった。