オレンジ色の校舎






たっちーの焦る声を背後に感じながら、自分の鞄を手にした。



「じゃ、頑張って!」



「だから違うって。あっ、あと永納本人に言うなよ?」



「バイバイ、たっちー」



たっちーを無視して教室を出た。すると斜め前に麻衣がいた。



「…なんだか2人楽しそうだったね。何…話したの?」



「ふふっ。たっちーって案外面白いよね」



「遥、質問に答え…」



「じゃーね、麻衣っ」



あたしは麻衣の質問に答えず玄関へ向かった。だって、いつまでもたっちーを待たせたら、たっちーの心臓が持たないじゃん。



ごめんね、麻衣。
そして頑張れ、たっちー。



長い廊下を歩く。すると、たまたま目に入った教室から、男女の寄り添う姿が見えた。



いいなぁ。オレンジ色の夕焼けにキラキラ照らされている2人が羨ましくなった。