病院にはバスで向かい、一番後ろの席に微妙な感覚を空けて、2人で座った。
一馬くんは何も話さず、ただ、外の景色を眺めていただけだった。
「親父…」
病室に入り、トシさんの姿を見た瞬間に一馬くんの口から溢れた言葉。
トシさんは似合わない人工呼吸器を付けていて、まだ目を覚ます様子はない。
「ご家族の方ですか?」
病室内にいた医者と看護師がこちらを向いた。一馬くんだけが小さく頷く。
「お父さん、かなり働き過ぎていません?倒れた原因は、過労やストレスからくるものでしたので」
「はい…」
「倒れたのは今回が初めて?」
「いえ、数週間前に一度」
「やはりですか。実は、他の患者さんも同じようなことがありまして。さらに無理をされたために、このように悪化したものと思われます」
ポツポツ話す医師の口元を見ていた。優しい口調は一馬くんの心を包み込むようだ。

