「一馬くん…どうしたの?」
「あ、いや。何もないから」
「あるっ。だって顔色がさっきと違うもん!」
下唇を噛んでいた一馬くんだが、口を開いた。
「……親父が、倒れた」
───────…
バンッ
玄関のドアを勢いよく開け、中に入る一馬くん。続いてあたしも入った。
どうしようもできなくてついてきてしまった。だって、一馬くん1人じゃ心配だから。
「親父っ!」
そして、リビングと思われる部屋のドアを開けた。しかし、あたしと一馬くんは停止してしまった。
「ん?おぉ、一馬おかえり!」
テレビをつけて、古びたソファーにでんっ!と座る一馬くんのお父さんがこちらを向いた。
「は、はぁ?」
一馬くんは状況が理解できずに固まっている。もちろんあたしも。

