「でも、朱希くんと遥ちゃんが別れたのが本当だったら…かなりショックなんだけど」



「……ごめんね、楓ちゃん。応援してくれたのに」



「やっと諦めなくちゃって思ってたのに…このままだったらあたし再び朱希くん狙っちゃうよ?」



「え?」



一瞬にして楓ちゃんの可愛らしい顔が真剣になった。あたしはドキリとする。



「……嘘。今は参戦する気分じゃない」



「え?」



「朱希くん、少し元気なかったんだよね。だからあたし、声をかけてみたの」



瀬川くんが、元気がなかった?やっぱり…あたしのせいかな?



ふと、袋に入っていた瀬川くんへ返そうと思っていたマフラーが目に入った。



……あたしから、ちゃんと返せるかな?ううん、ダメだ…勇気が出ない。



「あの、楓ちゃん…」