それでも、あたしは何も言えなかった。自分の気持ちを瀬川くんに伝えられなかった。
瀬川くんを傷つけたくないと思いながらも、また自分が傷つくのが怖いだけなんだ。
「……うん、友達…ね!」
できるだけ笑顔をキープした。これが今のあたしに出来ることだから。
「遅くなったな。家まで送…」
「らなくていいっ。あたし帰れるから!」
「でも、夕焼けも薄れてるし…」
「走って帰るから大丈夫!」
これ以上、瀬川くんと一緒にいるなんて無理だよ。今でも十分…キツいんだから。
「じゃあ…」
ふわっ。
「これしていけよ。風邪引いたら困るし」
あたしの首に、瀬川くんの黒いマフラーが不器用に巻かれた。
「い…いいよっ。せ、がわくんが風邪引くから」
「だーいじょうぶ。最後くらいはカッコつけさせて?」
………ズキン。

