周りでは、あたし達と同じ制服を着たカップルや友達同士が笑い合っている。
だけど、あたしと瀬川くんの距離からは笑い合える雰囲気が出ていない。
12月の寂しい空気を感じ、手を合わせて自分自身を温める。寂しいのはそれだけじゃない。
「○×公園に寄っていい?」
あたしを見て瀬川くんが言った。そこは、瀬川くんが鈴木さんからもらったラブレターを2人で読んだ公園だった。
「い…いいよ」
それからも無言は続いた。ふと、キラキラ輝くイルミネーションが視野に入った。
でもあたしは、クリスマスを漂わせる雰囲気から背を向けた。
そして公園に着いたはいいけど、どうすればいいんだろう?キョロキョロしていると、
「ベンチよりブランコにしよう」
瀬川くんの提案でブランコへ向かった。
そうだよね。ベンチよりブランコの方が距離が離れるもんね。

