「な、に言ってんの?だってあたしは一馬くんと…」
「同じ塾だったんだけど?それに少しだけ話したこともある」
「う……そ?」
一生懸命に塾での記憶を辿るが、一馬くんと話した記憶は、ない。
「遥とぶつかってお前が落としたものを拾った。そしたら……笑顔でありがとうとか言いやがった」
「そ……んなこともあったかも」
「んで、模試の結果が張り出された時、『1位の人って浅井くんって人すごいなぁ〜』って俺の名前を呼んでくれた」
一馬くんが少しだけ、抱き締める力を強めた。
「それが嬉しくて、ずっと1位をキープするために勉強した。お前の視野に入るために、な」
あたしの…ため?
「だけど、お前ん中には朱希がいた」
「し…、知ってたの!?」
「友達と恋バナしてる話が聞こえたんだ。同じ中学に好きな人がいるんだ、ってお前は言ってた」

