『永納から電話だけじゃダメだからって念押されて。何がいいかわからなくて…とりあえず会いに来た』
そうだったんだ。麻衣ってば。
「明日、朝早いの?」
もう電話を切って普通に話す瀬川くん。
「うん。あたしにとっては早起きしなきゃいけない時間帯」
「じゃあ…」
そう言って、あたしに近づいてきた瀬川くん。
え!?何何何何ー!?
「はい、頑張れるおまじない」
あたしのおでこに、瀬川くんのおでこがくっついた。瀬川くんとの距離が一気に近くなった。
「……が、んばれるかな?」
「大丈夫!応援してっからな」
「ありがとぉ…」
おでこをくっつけてくれただけなのに緊張がスッと抜けていった。
瀬川くんは魔法使いかもしれないね。さっきまでの緊張も、そしてあたしの心も奪っていったんだから。

