──────夜。
『もしもし、浅井?』
麻衣の予言通り、瀬川くんから電話が来た。電話が来たのは初めてだった。
「も…もしもし」
『浅井元気ねーぞ?まだ震えてんのか?』
電話では、いつもと違う瀬川くんの声が聞こえてドキドキしたが、緊張には敵わない。
「だ…だって緊張がおさまらなくて…」
『浅井なら大丈夫だって!緊張も成功につながるっ。よし、浅井に緊張を解すおまじないを教えてやるよ』
おまじない?首を傾げながら瀬川くんの言葉を待った。
『じゃあ…月を見てみろよっ』
頭にたくさんのクエスチョンマークを浮かべて、窓から月を見上げた。
『月、見てるか?』
「……見てるけど、何も変わらないよ?」
変わってるのは、昨日の三日月より少し大きくなってるってこと。
『月もわからないけど少しずつ変わってるだろ?浅井だって毎日変わってたよ。いっぱい面接もこなしてたじゃん』
「せ、がわくん…」

