麻衣と別れ、ぎこちなく瀬川くんに近づくあたし。だけど、瀬川くんの背中しか見えない。
「せ…瀬川くん?」
一言、名前を呼んでみた…が返事はない。もう一回呼んでみようかな?
「あ…あの、瀬川く…」
「来るなよ」
「え?」
「……今は来るな」
頭から顔までをタオルで隠し、低い声で呟いた瀬川くん。どうしたの、瀬川くん?
あたし何かしちゃったかな?もしかして、名前呼んだのが悪かったかな?
「……ごめん、だって俺…今、超恥ずかしい…」
「え?な、なんで?」
「さっき、浅井に…投げキ…ッスしちゃったから…」
あ…。その単語を聞いた瞬間、自分の耳が赤くなるのがわかった。
「………ごめん」
でも、背を向けてタオル越しに謝る瀬川くんの耳は、もっと真っ赤だった。

