「……バカ」



立ち止まった瀬川くんは、優しい笑顔であたしの頭に手を置いた。わわっ……きゅーん。



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『よかったじゃない。瀬川くんと帰れて』



家に帰り着くと、麻衣に電話で瀬川くんと帰ったことを報告したあたし。



「うんっ。でもびっくりしちゃった。まさか、ラブリーに行ってるはずの瀬川くんと帰れるなんて思ってもなくて…」



『あたしこそびっくりしたよ。遥は進路相談に行ってラブリーには来れないって言ったら“俺、浅井を待っとく”って』



「え…嘘…」



「遥、あんたかなり想われてるじゃん」



カップルの麻衣とたっちーといるのが嫌だったんじゃなくて、あたしのために…?



「ま…麻衣ぃ」



『ん?何よ』



「あたし…すごく嬉しいよぉ」



『…はいはい。言わなくても、電話が来た時から声だけで十分伝わってるから』