「あのさ」
自分の中で自分と戦っていると、瀬川くんが口を開いた。
「…沈黙になっちゃうけど、浅井のことが…嫌いとかじゃないからな?」
一生懸命に気遣ってくれている瀬川くんを見ると、なんだか笑えてきた。
「な、何笑ってんだよ」
「いや…可笑しくって」
「……何が?」
「せ…瀬川くんの一生懸命な気遣いが」
「だって、中学の時みたいに思われてたら嫌じゃん。だからこれからは…素直になろうと思って」
ふと、あの頃もお互いにこんな風に素直になっていたら…と考えてしまった。
だけど、あの頃のあたし達がいたから今のあたし達がいる。
こうやってまた、付き合うことが出来ている。瀬川くんの隣を歩くことが出来ているんだ。

