オレンジ色の校舎






「な…なんで?」



「あのさ、カップルと3人でラブリーとか俺でも嫌なんだけど?」



…あぁ、確かに麻衣とたっちーと3人は微妙だね。



「……それに、浅井がいなきゃ楽しくないし」



ドキッ。



あたしの胸は飛び跳ねた。瀬川くんの口からこんな言葉が聞けるなんて。



「もう進路相談は終わった?」



「あ、うん」



「じゃ、一緒に帰ろ」



「うん……っえ!?」



「俺、浅井を待ってたんだけど。…嫌じゃなかったら一緒に帰らない?」



あたしの焦りを読み取ったのか、申し訳なさそうに謝ってきた。



「あ…やまらないでっ。い、一緒に帰り…たいです」



緊張し過ぎて瀬川くんの顔は見れなかったけど伝えられた。そして瀬川くんに続いて校舎を後にしたあたし。



「………」



はい、沈黙。これは中学の時から変わらないか。沈黙が続く長い帰り道、息が詰まる想い。



思い出したくない。だけど、会話なんて出てこない。ダメだ…勇気が出ない。