オレンジ色の校舎






「あ、瀬川ちょっと来い!お前はあたしの話に付き合いなっ」



「は、はい!?」



だが、運悪く須田ちゃんの視界に入ってしまった瀬川くんは、須田ちゃんに捕まってしまった。



「……はぁ、マジかよ、最悪」



あたしの隣で重たいため息を漏らす瀬川くん。須田ちゃんは瀬川くんの名前を呼び続ける。そして、



「ごめん、浅井。嫌だけど…須田ちゃんとこ行ってくる」



「あ、うん…はいっ」



瀬川くんはあたしに大きな背を向けて、須田ちゃんの元へ歩いていった。



瀬川くんは優しい。酔っ払った須田ちゃんを1人にはしない。瀬川くんが隣からいなくなって…実はちょっと寂しかったりして。



だけど、これからはこんな瀬川くんも、いろんな瀬川くんを見れるんだ。



誰よりも間近で、誰よりも近い距離で。