「あ、瀬川ちょっと来い!お前はあたしの話に付き合いなっ」
「は、はい!?」
だが、運悪く須田ちゃんの視界に入ってしまった瀬川くんは、須田ちゃんに捕まってしまった。
「……はぁ、マジかよ、最悪」
あたしの隣で重たいため息を漏らす瀬川くん。須田ちゃんは瀬川くんの名前を呼び続ける。そして、
「ごめん、浅井。嫌だけど…須田ちゃんとこ行ってくる」
「あ、うん…はいっ」
瀬川くんはあたしに大きな背を向けて、須田ちゃんの元へ歩いていった。
瀬川くんは優しい。酔っ払った須田ちゃんを1人にはしない。瀬川くんが隣からいなくなって…実はちょっと寂しかったりして。
だけど、これからはこんな瀬川くんも、いろんな瀬川くんを見れるんだ。
誰よりも間近で、誰よりも近い距離で。

