オレンジ色の校舎






一瞬にして周りの音が消えた。頭の中は真っ白になり、誰が飛ばしたかわからないシャボン玉が見えた。



「別れてからも忘れらんなくて。……浅井がよかったら、もう一度付き合ってください」



嘘だと思った。あり得ないって、信じられないって思った。だって…瀬川くんから…好きって言われたんだよ?



ずっと片想いしていた瀬川くんから…もう好きと言われることがないと思っていた瀬川くんから。



あまりにも真剣な目で瀬川くんから見られ、心が揺れたあたしは…泣いてしまった。



「あ、浅井!?」



いつもみたいに心配してくれる瀬川くん。あたしは嬉し涙を溢すばかり。



だけど、泣いてばかりはいられない。あたしも…伝えなくちゃ。



「せ…瀬川くん。あた…し…ずっ…好き…した」



泣きすぎて、言葉が上手く出てこない。だけど、ちゃんと伝えるために言葉をつなげた。



「だ……から、あたしでよかったら…よ…よろしくお願…」



でも、言えなかった。だって、あたしは…瀬川くんに肩を引き寄せられたんだ。