楓ちゃんは瀬川くんをこんな表情に出来るんだ、と。
「あ、落ちた」
あたしには出来ない、瀬川くんの表情を引き出せるのだと。
「浅井、花火落ちたよ」
慌てて花火に目をやったあたしだった。
それから楓ちゃんの告白の話には触れず、他愛ない話で会話を弾ませた。
「浅井、今から真剣な悩みを相談したいんだけど…いい?」
線香花火がなくなってきた頃、瀬川くんがあたしに言った。大丈夫と小さく頷いた。
「実はさ…俺、好きな奴がいて、橋本からの告白を断ったんだ」
─────好きな奴。
やだ…こんな話を相談されるなんて予想外だよ。
「そいつ、結構明るい奴で…百面相が上手くて見ていて飽きないんだ」
浴衣を身につけているクラスの女子を1人1人見て、瀬川くんのタイプのコを探した。
あ…もしかしたら笹川さんかな?クラスでもキラキラしてるし。
「だけど、俺が近くにいると…そいつ黙っちゃうんだよな」
寂しそうな目をして線香花火を見つめた瀬川くん。

