そして、たっちーのためを思うことを優先して、あたし達はラブリーを出て解散することになった。
「遥ちゃんっ」
会計を済ませてラブリーを出ると楓ちゃんに呼び止められた。
「今日はあたしも入れてくれて、ありがとうね。すっごく楽しかったよっ」
「そっかぁ。楽しめたならよかったよ」
「それにね…たくさん遥ちゃんに嫉妬しちゃった」
あたしは財布を閉める手を止めて楓ちゃんを見た。楓ちゃんは切なそうに空を見上げる。
「最初は瀬川くんはあたしの隣にいたのに、後からは遥ちゃんのところにいっちゃうし」
「あ…そ、それは…」
「それに瀬川くん超鈍感だし」
超、を強調してあたしを見た楓ちゃん。確かに瀬川くんは鈍感だ。
「……鈍感だから辛いんだよね、あたし達って」
ねぇ、こんなことを言うライバルっているのかな?

