そして、あまりにも熱く解説しすぎていたあたしは、ドキドキ感を忘れていた。
「やっぱり浅井の解説はわかりやすいよっ」
「いやぁ…せ、瀬川くんが物わかりがいいんだよ」
「そんなことねーよ」
クルクルっとペンを回して、視線をそらす瀬川くん。あたしはオレンジジュースを喉へ通した。
「他の問題も聞いていいか?」
「あ…あたしがわかる範囲なら」
少し、楓ちゃんの視線が気になったけど、再び勉強モードに入ったあたし達。
あたしは、ちょこちょこ瀬川くんの真剣な顔を盗み見しながら、勉強を教えた。
こうやって勉強を教えることが出来るなんて…嘘みたい。さっきまで瀬川くんは楓ちゃんの隣にいたのに。
……だからこそ嬉しいんだ。

