少し申し訳なくて楓ちゃんを見ると楓ちゃんは笑っていた。あたしは負けてないよ、って。
その笑みを見ると、あたしだって…負けてられないって気持ちになった。
「あ…そうだ、浅井」
「ん?」
「ラブハン食べてからさ、英語…教えてくれない?」
「えっ!?」
「前、自習の時に少し教わったけどわかりやすくて。浅井がよかったら教えて?」
緊張してガチガチになりながら、瀬川くんに勉強を教えたことを思い出した。
「あ…あたしでよければ」
「じゃ、よろしくな!」
断れるわけがないよ。…またドキドキしすぎて胸がいっぱいだよ。
あたしは始める前から胸がいっぱいになって、大好きなラブハンもあまり喉を通らなかった。
─────…
「朱希、席替わるよ」
「カズ、サンキュー」
一馬くんの一言で、あたしの目の前には瀬川くんが座ることになった。

