「え?ここはこうするの?」
「いや、こうした方が解けやすいんじゃない?」
「あっ、本当だ!朱希くんありがとう」
ポキッ
「おーい遥、シャーペンの芯折れてる。ったく何回目だよ」
「へ?…あわっ、本当だっ」
「朱希と橋本のこと気にしすぎ」
「あ…う…」
図星で口ごもって言葉をなくしたあたしは、力なくシャーペンの芯を出した。
「ほら、数学やるぞ」
「え?一馬くんから教わるの?」
「お前さ、学年1の秀才をバカにしてんの?」
いえ…と呟き、渋々一馬くんから数学を教わることになった。…のだが、
「う…わっ、超わかりやすい!」
一馬くんの教え方は、数学のモンちゃんの教え方よりわかりやすくて、スラスラ解けた。
「あたしがこんなに数学が解けるなんて感激っ」
「数学の楽しさを思い知ったか」
あたしはうんうん頷いた。

