ごめんごめん、と謝って渋々数学のテキストを机に広げたあたし。
「だけど、たっちーでよかったのかも。瀬川くんみたいな人が彼氏だったら、あたし…長続きしなさそう」
「へっ!?せせせ…瀬川くんが彼氏!?」
「例えばの話よ。第一、あたしは瀬川くんに興味はないから。誰かさん達とは違って」
「んな…ってか達?複数形?」
「そ。身近にいる者としてあんたと橋本さんじゃん。瀬川くん好き同士」
イキナリ楓ちゃんの名前が出てきてドキッとした。そういえば最近楓ちゃんはどうなんだろう。
楓ちゃんは瀬川くんの隣の席だしそりゃ、瀬川くんと2人でたっくさん話す光景は嫌でも目に入っちゃうし?
告白…とかしたのかな?どうかまだしていませんよーにっ。
「まぁ、遥も頑張…」
────ピンポーン
麻衣の話を遮るように、インターホンの音が響いた。

