オレンジ色の校舎






「遥、眉間にシワが寄ってる」



考え事してるね?、とあたしの眉間をツンッとした麻衣。あたしは慌てて力を抜いた。



「でも…ありがとう、遥」



「え?」



「そう言ってもらえて…あんまり言いたくないけど、嬉しい…よ」



「そこは素直に嬉しいって言えばいいのにー」



「嫌。あたしのプライドが許さないの」



麻衣の言葉の後に、あたし達は顔を見合わせて笑みを交わした。



「思ったんだけどさ、麻衣って結構…意地っ張りだよね」



「3年も一緒にいて気づかなかったの?」



ふふっと笑ってテキストを出す麻衣。あたしも苦手な数学をしようかな。



「こんな意地っ張りと付き合うなんて、たっちーも度胸あるよね」



「それ…麻衣が言う台詞?」



「ちょっと、遥には言われたくないんだけど?」