その声にあたしの足は進まず、瀬川くんに腕を掴まれてしまった。ひ…ひゃあああ。
「そのままだったら浅井濡れる」
「あ…あたしはこ…これくらいの雨なら平気…」
「バカ。風邪引くじゃん」
そう言って、瀬川くんが傘をさした。こ…れってもしかして…瀬川くんとのあああ…相合傘!?
嘘…無理だよ。会話0に決まってるじゃん。瀬川くんだって迷惑だろうし…
「ん、使いなよ」
だけど、瀬川くんは相合傘ではなくあたしへ傘を渡してきた。
「俺、ココから家近いから傘いらないし。浅井使えよ」
「え!?でも…」
「小さい浅井には少しデカい傘だけど風邪引くよりはマシだろ?」
「んな…小さくな…」
「じゃあな!」
そう言って、雨の中を鞄を傘の代わりにしながら走り出した瀬川くん。
瀬川くんの嘘つき。瀬川くんの家って…ココから反対方向で遠いじゃん。

