さっきの件は恥ずかしかったけど…あたしは幸せだなって思った。
好きな人と同じ空間で、そして同じ食べ物を食べている。
それに、同じ食べ物を食べているのも瀬川くんの優しさなんじゃないかなって思う。
あたしが1人でラブリーに残らないように、自分も頼んでくれたんじゃないかなって。…あたしの考えすぎかもしれないけどね。
会話はなかった。あの頃も今も。だけど、あの幼かった中3の頃とは違う。
張り詰めた空気じゃない。穏やかな空間の中にいるんだ。
それはきっと、ラブハンを食べながら、時折瀬川くんが笑みを見せてくれるからだね。
「よし、食べ終わったし出るか」
食べ終わった皿を見つめていると瀬川くんの声が降ってきた。あたしは頷いて席を立った。
「俺が払うから浅井はいいよ」
「い…いや…いいよ。自分で…」
「いいって。外で待ってて」
そう言って、瀬川くんが支払いを始めた。あたしは小さく頭を下げておずおずとラブリーを出た。

