『了解』とにこやかに返事をする瀬川くんが目の前にいる。オレンジを頼んだけど、胸がいっぱいできっと飲めないよ。
「…にしても、休みとかマジで久々なんだけどっ」
メニュー表を見ながら子供っぽく笑う瀬川くん。
「だよな。朱希部活ばっかりだもんなー」
「それにキャプテンだし。部活内のいざこざとか大変でしょ?」
「まーな。…だけどキャプテンだから出来る仕事もあるから、部活が嫌だって思わないかな」
瀬川くんはどんなことにも一生懸命な人。だからこそ、キャプテンに向いているんだね。
何事にも一生懸命でカッコよくて…とっても優しい人で…うん、優しいんだよ。
優しいから…別れてからも、あたしにもみんなと同じように話しかけてくれてるんだよね。
「…ーい、おーい浅井」
「へ?」
「何ボーッとしてんだよ。ほら、オレンジ来たよっ」
ねぇ、瀬川くん。
その優しさがあるから、あたしはあの頃からこの気持ちが変わらないんだよ。

