「ちょっと君!高校生は半額じゃないよ!」


朝、高校へ向かうバスから降りようとしていたら、後ろからその運転手さんに呼び止められた。


「中学生ですけど…。」


そう言いながら私はおじさんに鞄から出した学生証を見せた。


「いやぁ、すまなかったねぇ。」

「…いえ…。」


本当にすまなそうな顔をしながら、おじさんは頭をちょっと掻いていた。
こんな風な出来事は結構頻繁にある。


それは標準中学生よりもちょっとだけ高いこの身長のせいだということは自分でもよく分かっているため、今日の呼び止めにも然して腹は立たない。困らせられる事もあるが、私は密かに自慢でもあるのだ。


それに今日はいつもの運転手さんじゃないからで、自分自身しょうがないと思うしね。


そんな私だが、クラスで一番後ろには並べない。


まだ一人、私よりも大きい人がいるんだ。


中途半端は誰だって嫌だよね。どうせ大きいなら一番がいいじゃん。


唯一私の後ろに並ぶその人は、最近縦に伸びるのを止め横に伸び始めた。今私はゴール目前のマラソン選手の気分さ。