「まだサターニアの方々はいらっしゃってませんよね?私少し散歩をしてきますわ」

姫様は目をキラキラ輝かせて言いました。

「でも姫様、あまり時間はありません」

「すぐに戻るから大丈夫よ」

侍女にはわかっていました。

姫様はきっと綺麗な自分の姿を皆に自慢したいのだと。

朝起きた時とは全く機嫌が変わりました。それはドレスを着てからだとすぐにわかりました。

しかし、姫様の言った「良いこと」だけがわかりませんでした。

侍女の勘は全くその通りで、姫様はニコニコしながら中庭へと向かいました。

行く途中で何人もの侍女、衛兵、貴族らに賛美の声をかけられ、姫様は益々ご機嫌でした。

中庭に着く頃にはすっかり上機嫌で、鼻歌まで出ていました。