そしてとうとう体育祭当日。


「おーい、ハチマキ配るぞー」


ジャージ姿の恵が、ハチマキの入った箱を持って呼びかける。

体育祭では各クラスそれぞれのオリジナルのハチマキを身につけることになっている。

さすがに競技中は外すんだけど。

お揃いのハチマキのおかげで、連帯感ってやつが芽生えるかも。

うちのクラスは、白くてなびくほど長いハチマキを用意した。


「では、取りに来て下さい」


恵に並んで沙綾が言うと、男子がワッと群がった。

蟻のようなその様子に、クラスの女子は引いていた。

だけどその傍らで全く人気のない恵を見て、あたしと麗ちゃんは大笑いだった。