住宅地を抜けて大通りにでると、待ち合わせ場所のコンビニが見える。

入り口のわきに立つ銀色の髪を、あたしは瞬時に見付けた。

あたしの、ニセモノの彼氏。

あたしは努めて明るい表情をつくり、麗ちゃんに声をかける。

軽く挨拶を交わして、あたしたちは並んで歩き出す。

学校に着くまでの間、あたしたちは念入りに打ち合わせを行う。
付き合ったいきさつ、告白の場所、付き合った日。

それぞれ何か質問されても、ちぐはぐにならないように。

途中、ふと我に返るとなんだかそんな自分達がおかしくて、下らなく思えてくるんだけど、巻き込んでしまった麗ちゃんに悪いから口には出さない。


あたしと麗ちゃんは、付き合いたてのカップルの多くがそうするように、甘い言葉ん交わすことも、手を繋ぐこともなく、学校に到着した。