ひとしきり泣いて、しだいに落ち着いてくると、同時に気持ちも落ち着いていく。

あんなにモヤモヤしていた頭の中も妙にクリアになっていた。


「麗ちゃん、ごめん」

「ん、落ち着いたか?」


あたしは支えてくれていた麗ちゃんの腕をほどき、こくりと頷いた。

なんだかとても気恥ずかしいけど、スッキリしてる。


「何があったかなんて詳しく聞かねぇけど、若狭と沙綾のことだろ?」


あたしはまた小さく頷いた。
すると麗ちゃんは聞こえるか聞こえないか、小さなため息をはく。


「あのさ」

「うん」


麗ちゃんの言葉を待って、あたしは麗ちゃんの顔を見上げた。

わずかに頬が赤らんで見えるのは、アスファルトに反射した夏の日差しのせいだろうか。