「あ、、司くん」

たこ焼き屋さんの前のベンチに1人座り込む、司くんの姿があった。


「司」

優くんの声は、少し掠れてて。

メイはさっきよりも強く優くんの手を握った。

手が離れてしまわないようにぎゅっと。

でも優くんの心が壊れてしまわないようにそっと。

「あ、、優。青木。」

顔を上げた司くんには、かなり元気がない。

「ちょっと話せるか?」


体育館の裏という誰もいない最高の場所に、優くんは案内してくれた。

生徒会の生徒だとこんなスポットも知ってるんだー。


「ごめん」

続いた沈黙を破ったのは、優くんだった。

「は、、?」

「ごめん、司。俺、すげぇお前たちのこと傷付けたよな…。まじでごめん」

優くんは、司くんの目をしっかりと捕らえて、

頭を下げた。

優くんが頭を下げる姿なんて、本当に始めて見た。

どんなに長くいても、メイが知らない優くんはたくさんいる気がして、左胸の奥がぎしっと音を立てた。

「やめろよ」

「でも、司、」

「いいって、別に。優を追い詰めたのは、俺も含むみんなだろ…?」

「司」

「俺は、もう怒ってねぇよ。恨んでもねぇ。あの、1発で全部消えた。」

1発…?

「まじでごめん」

「気にすんなって!」

そう言って笑った司くんの顔は、決して無理してなかった。

きっと、それに、優くんも気付いたよね…?