なんだかんだ、家まで5分もかからずについた。
その間、東は一言も話さず自転車をこいでいたからか、とても長く感じた5分だった。
「東、ありがとう」
らなもそれにつられて「わふっ」と一回のみ吠える。
わんって吠えない家の犬……。
「あぁ」
相変わらず東の態度が冷たい。何か起こらせるような事したかな。
「とりあえず、部屋にきて」
「ん」
一言一言が短い。何なの今日の東。いつもと全く違う……。
自転車を家の隅にとめると、「ただいま」「お邪魔しまーす」と二人同時に言いながら家に入っていった。
「なぁ」
私の部屋のイスに座りながら、東が話を切り出す。
「あ、ごめん。飲み物? 持って来るね」
そう言って部屋を出ようとしたとき、いきなり身動きがとれなくなった。
「何?!」
身動きが取れなくなったのは誰かが私を抱きしめているからだと分かった。