コン コン


保健室のドアが控えめにノックされて、私と大輔くんは離れる。


先生が来たのかな…?

足音が近づいてくる。




「優ちゃん…?」


カーテンの向こう側からそう言ったのは、ミカンちゃんだった。


ドクン……

心臓が嫌な音をたてる。






「ミ……カンちゃん」

「あの、は、入ってもええかな?」 

「あ……うん……いいよ」




カーテンを開けたミカンちゃんは、私の泣きはらした顔をみて、少しびっくりした表情をする。




「授業さぼったんか?」

「そ、それは大輔もやん……」



ミカンちゃんは気まずそうに髪を耳にかけたりしながら、モジモジ立っている。




「あ…の、さっきの廊下での騒ぎで……うち、先輩がうちの為にそんなんしてたって知らんくて……さっきの授業中、リカ先輩にどういうことかメールで聞いて…」



朝の先輩、リカ先輩っていうんだ…

朝の出来事を思い出して、また心臓が痛くなる。





「それで授業も抜けてきてん。うち、酔ってたから…そんなん頼んでた記憶なくて……でも優ちゃんに謝らんとって……ごめんね…?」




ミカンちゃんが、怯えた瞳で私と大輔くんを見る。






「本当にごめんね…うち、あの夜はちょっと感情的になっちゃって…優ちゃん良い子なのに…」




ミカンちゃんは、すごく後悔しているように見える。





でも…

ミカンちゃんは遊園地の時も同じようなことを言って、謝ってたはずだよね…?