キスのあとは、手をつないで夜の海をみた。




どこもかしこも夜景がキラキラしている。

優の細い髪が夜の海風で揺れてる。

優は顔に髪がかかるたび、耳にかけ直してる。





このまま帰りたくないな。

ただ、優ともっともっと一緒にいたい。



隣の優をもう一度ぎゅっと抱きしめる俺。




「優と一緒に住めたらええのに…」

「そうだね…絶対に毎日すごく楽しいね」
 



俺の腕の中で顔だけ見上げて、赤い頬で笑う優。



俺はもう一度ぎゅっと腕に力を込める。



俺の大事な、大事な優。

一秒でも離れたくない。








でも、これ以上は門限が……

優の親御さんを裏切るはしたくない。





「そろそろ帰ろかぁ…」


気持ちをぐっと我慢して、俺が笑うと優も微笑む。






帰り道は電車の中も、俺と優はずっと手をつないでた。

別れる時には寂しい気持ちでいっぱいになる。



明日も学校で会えるのにな…










ほんまは今日、昨日のミカンの話を優にするつもりやった。


俺の中で、やましい事なんてなんもない。

でも、陽子との過去が知られた時みたいになったらアカンって…




せやけど今日は……言い出せなかった。



優との幸せな時間を一瞬でも壊したくない。

明日からはまた一緒に帰れるんやし…

だから明日の放課後に話そう。



そう思った。






俺はこの事を、死ぬほど後悔をすることになる。