「はあ~…なんかこういう時間ってやっぱ大事やな」




自分の心が心底満たされていくのがわかる。

いくら教室で優を見つめても……ぜんぜん足りへんねん。




「うん…実は私、最近すごく寂しかったんだ」

「マジで?でも多分俺の方が寂しかったで?」

「それは絶対ないよ。私なんて妬きもちもいっぱいしちゃったし」

「そんなん俺もやで」

「え?誰に??」



首をかしげる優に、俺は唇をとがらせる。



「優の隣の男。めっちゃかっこいいしあんなん男でもホレるやん」


俺の言葉に優は目を大きくする。


「それは無いよ!だって私、少し前まで犬山くんって怖くて怖くて震えてたんだよ?」


「少し前までって…ほな今はどうなん」


「い、今はもう怖くないし良い人だけど……だけどそもそも、大輔くんがミカンちゃんと仲良くするから…」


「あんなんミカンが勝手に喋ってるだけで、俺はいっつも優の背中を見つめてるんやで」


「そ、そうなの?」


「うん。優があんまり犬っちとひっついてるから、実は毎晩泣いてたんやで」



俺の冗談に、優は笑う。




そうやんな…

やっぱりお互いに不安になるよな…

優も俺と同じやったんやな。




「なぁ優。明日から放課後、練習の前にちょっとでも良いから、誰もおらんとこでふたりきりで会えへん?こういう時間がないと俺、元気でぇへん…」


「わ、私もそうしたい…!」




俺と優は笑いあった。