「もう……犬山ええやつ!」



放課後

一緒にカラオケに来た愛ちゃんが、個室の中で叫ぶ。





「ミカンも天然やからな…大輔ももっと強く拒否らなアカンよなぁ…」


陽子ちゃんもポッキーを食べながら言う。





「大輔くんは悪くないよ…私が嫉妬深いだけ…」


私はハンカチを押し当てて、泣いている。



「いやいや~あたしでも嫉妬するって!犬山にも分かるくらいの状況やんっ」


愛ちゃんが私の代わりに怒る。





「せやな、犬山はイイ男やな。それに比べて大輔は……まぁ優しいのがアイツのええとこやけど、それにしても分かってないわ…」


陽子ちゃんはガッカリしたように言う。





カラオケにきて、私たちはまだ1曲も歌っていない。