手の中の蝶々



ヤキモチ……?


目の前で食事にがっつく男性教師をみながら、文字を頭の中で廻す。

「…ないない、絶対ない」

『ん?』

「そんな筈ない」

『…どうしたの?』


私の作った夕食を食べているのは、勿論菊島先生で。

私が見つめているのも菊島先生。

「なんでもありません」


何が楽しくてエプロンらぶの、変人教師なんかにヤキモチを焼いてやらなきゃならないんだ。


『そっか』


こいつが、誰とイチャイチャしようが、ラブラブしようが、私には一切関係ない。



私は先生が嫌いなんだ。


私は先生が嫌いなんだ。



呪文のように心で唱える。



――『それってヤキモチじゃない?』


「……っ」


違う、違うに決まってる。

私、先生が嫌いなんだもん。


「……私、お風呂入ってきます」

じゃあ何で、そう思う度に泣きそうになるんだろう。