手の中の蝶々




『そうだねぇ……』


私が言った事を検討している先生は目を瞑って悩んでる素振りを見せる。



『じゃあそうしてもらおっかなっ』




ムカッ




『どしたの?』


「…別に!良かったね。笑われないですむよ」

……ムカッってなんだムカッって。

ましてや恋人でもないんだから、先生が誰に何をしてもらってても良い筈なのに。

はっきり感じる苛つき。


それは、波内さんの、先生に触れる白雪の手ではなく

波内さんの事を嬉しそうに話す先生に対して…で。


この気持ち、ちっとも楽しくない。


『夂葉さん食べないの?』


「…食べる」


口に運んだカレーは甘口で。

スパイシーな刺激はない。


私は、甘口好きだし。
辛いの痛いから嫌いだし。





その筈なのに。


いつも食べ慣れた甘口では今はなんだか物足りなくて。
甘ったるいだけでは駄目なんだ。


刺激がないと痛くない。


痛いのは、ツラいこと?








ただ、今は無性に辛口が食べたい。