手の中の蝶々




朝、寝起きの悪い先生は相変わらず起きてくれない。


「もう!先生ったら!」


『は〜い……』



こんな調子だからまたもや時間はギリギリで。


玄関に向かう時だってドタバタ。


「寝癖直してる時間ないんでそのまま行って!」

『え!?そんなぁ…。恥ずかしいよっ』


今更何言ってんだ。
頻繁に寝癖つけてたくせに。


「先生が起きないのが悪いの!」

必死で頭を押さえる先生を置いて家を出る。



『夂葉さん待ってっっ』


今日は出発時間をずらす余裕のないくらい時間が迫っているから、一緒に出ていくしかない。


「大丈夫かな……」


『堂々としてれば意外と大丈夫だって』


この根拠のない楽観的な所が、怖い。


『じゃあ走るよ!』


駆け出した先生の足は速く。


私もかなり速い方なのに、追い付くのに必死で。


いや、決して追い付く必要はないんだけど、本当に時間が危ないから。


『夂葉さん足速ーい』

「せ、先生が…でしょっ!」


私はこんな風に息切れしているのに、先生は少しも乱れていない。



「置いて…って、いいですよ…!」

『………。では!』



って本当に行くの!?!?
同情ってもんはないのか!!