手の中の蝶々



今は国語の時間。


だから……


『この表現方は―――』


耳に入るのは心地よい声。
ビリビリなんてしない。
柔らかい声。




国語の時間は終わるのが早い気がする。
他のと同じ時間配分な筈なのに。
変なの。




体感スピードの早い国語の授業はチャイムと共に終了する。



先生は勿論教室を後にしようとする……

しかし、その先生を呼び止める生徒が1人。


『先生っ』


波内さんだ。
レナちゃんだっけレミちゃんだつけ。

まぁ、そんな感じ。



その波内さんは先生を呼び止め、手で『しゃがんで』と仕草をして見せる。


その手にはヘアアイロンがあって。


『携帯用なんです』なんて言いながら、朝私が完全に直せなかった寝癖がついた先生の髪に手を伸ばす……



白い手が先生の黒髪の中で良く映えて。





でも私の心の中はまるで逆。

正体の分からない黒く、石のような塊が生まれた。







――触らないで






はっきりそう思った。