手の中の蝶々


大急ぎで朝食を食べ終えて、バタバタと2人して玄関に向かう。


「あ!先生!!」


私は前にいる先生の頭を見てある事に気付く。

『はい?』

不思議そうに振り向く先生の頭には……、角が一本。

「立ってる」

『何が?』

「髪の毛!」

私がそう言うと自ら頭を触り、押さえ付ける。


「しゃがんでっ」


私は洗面所から櫛と家から持ってきた寝癖直しを持ってきて、先生にしゃがんでもらう。


「子供みたいなんだから…」

『へへ』

私は角にスブレーをかけ、櫛を通す。

まだ少しだけ不恰好だが目立ちはしない。


「完了!行くよ!」


『ありがと』



再びバタバタと玄関に向かう。



「あ!!」

そしてまたある事を思い出す。


「朝から一緒に登校するとかまずすぎる…」

玄関から出る前に気が付いて良かった。


危うく、早くも噂がたつところだった。



『大丈夫だって〜』


私が自分ナイスッ、と気付いたことを優秀に思っていたのに。

先生はそれがどうした、とヘラヘラ笑う。


大丈夫じゃないし、笑えないし。



「私5分後に出るから先行って。ほらダッシュ!私も後から走って行くから追い付かれないでね!」


私は先生の背をぐいぐい押し、玄関から出す。


「分かった!?」


先生の返事を聞く事なく玄関を閉め、きっかり5分後、家を出た。